« 鼻は脳の入り口なの | トップページ | お手伝いさんありがとう »

2005年5月22日 (日)

観劇 「いとこ同志」

「いとこ同志」

作・演出  坂手洋二

出演    渡辺美佐子・串田和美・宮本裕子・佐藤アツヒロ

劇場    シアタートラム

舞台は夜汽車。登場人物は4人だけ。一見シンプルな気がするが、内容は実に複雑で追いかけるのが精一杯だった。

渡辺と串田はいとこ。だと思う。ん~でも最後「そういうことにしておこう」みたいな感もあったから定かでない。でも冒頭ではいとこの体。

佐藤と渡辺は親子。そして佐藤と宮本はいとこ。で、結婚の約束をしている。

佐藤と宮本が婚約の報告をする為に渡辺のもとへ向かう。渡辺は丘にトレイン別荘を建ててそこに来ていた。いとこの串田とともに。そして、そのトレイン別荘の中で「いとこ同志」の結婚や恋愛や信頼や絆はどうなんだということが繰り広げられる。

さらに。

渡辺はミステリー?冒険?作家で、「いとこ同志」というシリーズを持っている。売上もなかなかで、テレビのコメンテーターとして顔も知られている。この「いとこ同志」という小説のモデルが串田である。渡辺は「私は本当にあったことしか書かない」と言う。串田は記憶喪失であるが、未来予知能力を持つ。らしい。このへんのサイドストーリー(もしかしたらこっちがメインストーリーだったりして)が、今ひとつ理解できず、途中何度もノッキングを起こす私。

筋立てはどうあれ、この舞台を支える世界感はとても素敵だった。「郷愁と浪漫」が夜汽車の中で繰り広がる。夜汽車の静けさと劇場の静けさが同質になり、私も乗客のひとりになる。まさに、舞台の醍醐味。

役者の魅力もまたさらなり。ベテラン二人の存在感。もう二人はいるだけでいいくらい。こんなにセリフ喋らせたらもったいない。身体で表現出来ちゃう人たちなんだから。でもはじける渡辺美佐子さんはキュートだったな。圧巻だったのは、カーテンコールの串田和美さん。芝居全部が吹き飛ぶほどのかっこよさ。びっくりしたよ。

佐藤アツヒロさんは初めて拝見したけど、すっかり舞台役者。多少幅のなさを感じはしたが、それを上回る彼の魅力はさすが。今でもファンが多いのも納得。年上のいとこを一途に思う純粋な青年は彼そのものだった。

宮本裕子さん。佐藤さんと宮本さんは、若い頃の渡辺さん串田さんを演じるのと、現在の婚約中のいとこを演じるのと役回りがふたつあるのだが、この演じわけがさりげないのに見事だった。明らかに内面が変化している。役者は内面が変化すると、外見も変化するのだね。混乱しそうなところを、宮本さんの演技で理解に至った。それから、彼女はコメディエンヌなのだね。もっと彼女のコメディーが観てみたい。

今、あらためて思うのは、舞台というものは目の前ではあるものの、一瞬で過ぎていき、また戻ることが絶対にない。本ならば、理解できるまで、何度も戻って読み返すことが出来るし、気に入ったシーンなら繰り返し楽しむこともできる。それも自分のペースで。舞台の上の物語やセリフをきちんと観客に届かせ、理解させ、感動を生ませるということが役者の仕事ならば、それはとてつもなく難しい仕事だ。「役者」と名乗る人種の半分も、きちんと仕事が出来ているのか怪しいものだ。実際、そんな人たちの舞台は苦痛で目もあてられない。資格も免状もない「役者」という職業は、万人に出来て万人が成れる。でも、観客を満足させられる「役者」は一握りにすぎない。今回、その一握りの中の四人の芝居を観ることが出来て満足している・・・。

|

« 鼻は脳の入り口なの | トップページ | お手伝いさんありがとう »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/105032/4233845

この記事へのトラックバック一覧です: 観劇 「いとこ同志」:

« 鼻は脳の入り口なの | トップページ | お手伝いさんありがとう »